企業紹介
ライオン株式会社(台東区)は、1891年創業の日用品メーカーで、家庭用品やヘルスケア用品の製造・販売を手掛けています。特にオーラルケア製品(歯磨き粉、歯ブラシなど)や洗剤分野で高いシェアを誇り、国内外で幅広い事業を展開しています。
活動紹介
ライオンでは2019年から、従業員の健康意識の向上・自発的な健康行動の実践を促す取組「ライオン流健康サポート“GENKI”アクション」を展開しています。従業員が自身の健康情報を一元管理できる健康情報システム 「GENKIナビ」を導入しているほか、2023年に移転した新社屋では、働きながら気軽に運動量を増やせるデザインや施設を採用するなど、従業員が楽しみながら自主的に健康管理に取り組める環境の整備を進めています。
また、ラグビーのクラブチーム「ライオンファングス」によるスポーツの普及や地域との連携にも力を入れており、石巻の復興支援や台東区のラグビーイベントなど、スポーツを通じた社会貢献活動も積極的に展開しています。
今回は主な取組の概要や社員の意識の変化などについて、お話を伺いました。

お話を伺ったライオン株式会社人材開発センター健康サポート室長の五十嵐章紀さん(左)と総務部ベストオフィス構築グループマネージャーの西本博昭さん
オフィスで実践!健康行動を習慣化しやすい環境づくり

執務エリアの廊下に設けられた「歩幅の目安」と、ストレッチ設備
2024年3月、東京都台東区蔵前に移転した本社オフィス。執務エリアの廊下には、可愛い足跡が続いています。これは、動物のライオンをイメージした足跡を用いて、身長160cmの人・170cmの人の理想的な歩幅を図で示したもの。この歩幅を意識して歩くことで、オフィス内での何気ない移動も「運動」として捉えようという狙いがあります。
実際、この足跡に合わせて歩こうとすると、足跡と足跡の間隔が意外と大きいので、いつもより歩幅を大きくする必要があることに驚きます。傍らの壁には、ストレッチ運動のための設備を設置。休憩時間などに手足や背筋を伸ばして、心身をリフレッシュすることができます。

4Fの「共創フロア」。家具やパーテーションを動かすことで運動量をUP!(cap)社員の自発的な利用が広がるGENKIアクションルーム
また、社内外の「つながり」を強化しイノベーションを促す4Fの「共創フロア」では、あえて家具やパーテーションを固定しないスタイルを採用。使う人がシーンや人数に応じて自由に家具やパーテーションを動かせるようにすることで使い勝手を向上させると同時に、従業員が体を動かす機会の創出にもつながっています。
さらに、11Fには卓球台やトレーニングマシーン、ボルダリングウォールを配した「GENKI アクションルーム」を新設。従業員が就業時間前後や休み時間に気軽に立ち寄って運動ができる環境を整えました。

総務部ベストオフィス構築グループマネージャー 西本さん
同社でオフィス構築を担当する西本博昭さんによると、「GENKIアクションルームのトレーニングマシーンは、主にラグビー部員の使用を想定していたのですが、ラグビー部からの発案で、終業後に部員が社員にトレーニング方法を教える企画を行ってみたところ、これが大好評。今では男女や年齢、所属部署を問わず参加者が集まり、部員と社員が一緒にトレーニングを楽しむ光景が普通に見られるようになりました。」

ラグビー部によるトレーニング指導の様子
「ラグビー部専属のトレーナーによる指導も人気です。トレーナーの方に社員向けに『ボディ引き締めコース』と『筋肉アップコース』という特別なトレーニングメニューを作ってもらったのですが、いずれも社員に大好評。特に『ボディ引き締めコース』 はネーミングの効果か人気が高いですね」とのこと。
「新本社移転プロジェクトには社員の健康行動を自然に促し、習慣化させる狙いがありました。GENKIアクションルームの活用状況を見ると、移転前に比べて社員がスポーツに親しみ、実践・習慣化する機会が確実に増えているようです」。
健康行動の「見える化」で、自発的な生活改善を促す

GENKIアクションルームに設置された「事業所ミッションポイント」。GENKIナビアプリでQRコードを読み取るとポイントが加算される
従業員の健康意識向上・自発的な健康行動推進のために、ライオンでは健康情報システム「GENKIナビ」の活用にも取り組んでいます。GENKIナビは、「見れば分かる(健康状態、対策、将来リスク)」 「自己管理ができる(セルフチェック)」 「楽しく健康づくりに取り組める」をコンセプトに、市販の「Health Ledger」※をライオン仕様にカスタマイズした健康システムです。
支給されている社用スマートフォンはもとより、プライベートのスマートフォンにもインストールできるアプリから気軽にアクセスでき、使い続けることで従業員の「健康行動の習慣化」、「ヘルスリテラシーの向上」を目指すことができます。
GENKIナビの基本機能は「セルフチェック」。自らの体重や歩数、食事、体温などを記録、チェックすることで生活習慣を振り返り、生活改善につなげていくことを目指しています。
従業員の健康増進施策全般を担当する、人材開発センター健康サポート室長の五十嵐章紀さんによると、「GENKIナビでは、健康診断の結果も表示されます。さらにその結果に基づいた健康リスクも確認できるので、生活習慣や食生活を改めたり、運動量を増やすなど健康づくりのためのアクションを起こすきっかけ作りにも役立っています」とのこと。

人材開発センター健康サポート室長 五十嵐さん
健康サポート室では、歩数や運動量に応じてポイントがもらえるポイントプログラムを導入し、貯まったポイントを同僚にプレゼントできる仕組みを採用したり、健康保険組合が推進している、カタログギフトに交換できる「歩こう歩こうキャンペーン」との連携を行うなどして、GENKIナビの積極的な利用を促しています。
また、GENKIアクションルームに設置している「事業所ミッションポイント」もGENKIナビを使った運動促進策の一つ。QRコードを読み取るとポイントが加算されるため、「GENKIアクションルームに行って運動してみよう」という動機につながっています。
五十嵐さんは、「私自身も実践していますが、GENKIナビで自分の運動量が可視化されると、健康意識や運動へのモチベーションが上がります。最近では従業員同士がお互いの歩数を競い合ったり、ポイントを送りあったりすることも日常的に行われるようになっています」と話しており、同じツールを活用した健康管理が従業員のコミュニケーション促進にも役立っていると指摘します。
「このような取組の根底にあるのは、創業以来、ライオンに根付いている社員の健康を大切にする社風です。」
ラグビーを通じたスポーツ振興が、社員の健康意識の向上に貢献
ライオンが社員の健康づくりに取り組むに当たって、GENKIアクションルームやGENKIナビの活用がスムーズに浸透した背景には、同社のラグビーチーム「ライオンファングス」の存在が大きく貢献しています。
ライオンファングスは1972年の創部以来、競技活動のかたわら、スポーツを通じた地域貢献活動にも熱心に取り組んでおり、東北の復興支援として「LOVE 石巻」と呼ばれるイベントや、地元・台東区の子どもたちへのラグビー教室などを開催しています。

地元台東区でのラグビー教室の様子
西本さんは「50年以上の歴史を持つファングスは、メンバーの多くがライオンの社員で業務と部活動を両立していることもあり、社員にとって非常に身近な存在。ファングスの試合を応援に行くことを楽しみにしている社員も少なくありません。そんな関係がベースにあったからこそ、部員によるトレーニング指導にも躊躇なく参加する社員が多かったのではないかと考えています」と分析しています。
従業員の健康こそが、会社の成長を支える健康基盤
GENKIナビの活用をはじめとした健康づくり施策や、健康に配慮した新社屋運用開始の効果もあり、ライオンでは新社屋移転前後で従業員の歩数が倍増。自主的にGENKIアクションルームを利用する人が増えたり、社員食堂でヘルシーメニューを選ぶ人が増えるなど、健康意識の高まりが感じられるようになってきているそうです。
五十嵐さんは「当社では創業以来、会社の健全な成長を支える重要な経営基盤として、従業員の健康と働きがいの向上を大切にしてきました。これからも従業員の健康行動を促し、習慣化する取組を通じて、従業員の働きがいを高め、経営理念に掲げる『次世代ヘルスケアリーディングカンパニー』として、お客さまの健康づくりに貢献していきたいと考えています」と話しています。
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※「Health Ledger」:正興ITソリューション株式会社開発のクラウドサービス。同社の協力のもとGENKIナビへのカスタマイズを行った。