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【Vol.19】障がい者アスリートの雇用により人材のダイバーシティ(多様性)を推進(SMBC日興証券株式会社)

投稿日時:2025.3.25

SMBC日興証券株式会社

企業紹介

SMBC日興証券株式会社(千代田区)は、創業以来100年以上の歴史を誇る総合証券会社です。「いっしょに、明日のこと。」をブランドスローガンに掲げ、個人の資産形成から法人のグローバルビジネスまで幅広いサービスや商品を提供しています。

活動紹介

経営理念の1つに「多様性を尊重する」を掲げるSMBC日興証券では、障がい者と健常者、子どもからお年寄りまで皆がいきいきと暮らしていける「人にやさしい社会」の実現に向けて全社を挙げて取り組んでいます。その一環として、2015年からは、障がい者アスリートの採用を始めました。

今回は障がい者アスリート社員の皆さんの具体的な活動内容や、障がい者アスリート社員の存在が他の社員に与える影響、今後の展望などについて、同社人事部のDE&I推進室の須藤桃子室長に伺いました。

お話を伺った人事部DE&I推進室 須藤桃子室長(左)と中城千鶴さん

障がい者アスリート社員の情報を社内発信、交流会も好評

人事部DE&I推進室 須藤室長

令和7年2月現在、SMBC日興証券で活躍する障がい者アスリートは計17名(パラアスリート12名、デフアスリート5名)。取り組んでいる競技種目は陸上、車いすラグビー、車いすバスケットボール、パワーリフティング、柔道、アルペンスキー、卓球、水泳と多岐にわたり、いずれも世界で頂点を目指すトップアスリートばかりです。
パリ2024パラリンピックでは、乗松聖矢選手が車いすラグビーで、廣瀬順子選手が柔道でそれぞれ金メダルを獲得するなど、輝かしい活躍を見せています。

所属する障がい者アスリートの皆さん

障がい者アスリート社員は競技活動に専念しており、通常は全国のそれぞれの拠点でトレーニングに励み、試合や大会に出場する日々を送っていますが、概ね月に1度、人事部DE&I推進室主催の定例会を対面およびオンラインの両形式で開催し、アスリート社員から活動報告を受ける機会を設けています。

「活動報告や試合日程などアスリート社員に関する情報は、タイムリーに社内イントラや広報誌で紹介して、本社や支店で働く社員にも共有するようにしています」と同社人事部DE&I推進部の須藤桃子室長。

「例えばメンタルの保ち方や、体力づくりに役立つトレーニングなど、健康づくりや日ごろの業務に生かせそうな内容について発信することも心掛けており、そういった情報がきっかけでパラ・デフスポーツに興味を持ってくれる社員も着実に増えています。
私自身、身近に障がい者アスリートの活動を見る中で、彼らの粘り強さやあきらめない気持ちの強さに感銘を受けましたし、パラ・デフスポーツを個人的にもよく観戦するようになりました」。

2024年5月に開催された神戸世界パラ陸上には、陸上競技のアスリート社員が複数出場、神戸周辺エリアの支店の社員が家族連れで応援に駆け付けるなど、社員による認知・応援の機運が着実に高まっています。

また、2025年1月には、パリパラリンピック大会でメダルを獲得した障がい者アスリート社員との祝勝会を兼ねた交流会を実施し、大勢の社員が会場を訪れました。アスリート社員との懇談や情報交換のほか、アスリート社員自らが発案した、車いす体験や握力対決などの交流を楽しみました。

1月に行われた交流会の様子

このように、SMBC日興証券では障がい者アスリート社員を、同じ会社で働く「仲間」として認識して尊重し、アスリート社員たちの活動を応援する雰囲気が醸成されています。

アスリート同士の交流や横のつながりも促進

ZOOMでの定例会の様子

では、SMBC日興証券のような企業に所属することは、障がい者アスリートにどのようなメリットがあるのでしょうか?
「まず、経済的な不安がなくなって競技に専念できることが大きなメリットだと聞いています」と須藤さん。「さらに、講演活動などを通じて選手としての認知度が上がるのが嬉しいという声もあります」。

定例会や交流会によって、アスリート社員同士のコミュニケーションが深められることもメリットの一つのようです。
「アスリート社員にとって社内の定例会や交流会は、自分とは異なる競技の選手と顔を合わせて話ができる貴重なチャンス。特に定例会では、選手同士が競技の壁を越えてトレーニング方法についてアドバイスしたり、悩みをシェアして相談し合ったりすることも多く、良い情報交換の機会となっているようです」と須藤さん。

SMBC日興証券に所属していなければ関わることのなかった選手とのつながりは、アスリートにとってプラスになっているようで、「特に陸上などの個人競技の選手にとっては、SMBC日興証券という『チーム』に所属している安心感や連帯感も、大きなメリットになっているようです」。

アスリート引退後も視野にキャリアプランを検討

人事部DE&I推進室 須藤室長

引き続き、障がい者アスリートの雇用を通じたダイバーシティーの促進に取り組んでいく中で、課題となるのが競技引退後のアスリートのセカンドキャリアです。

「現在は17名の障がい者アスリート全員が現役で活躍していますが、この先、当然ながら競技を引退する選手も出てくるはずです。引退直前になって焦らずにすむように、当社では普段から、引退後のキャリアプランについてアスリート社員にヒアリングしたり、今後についての悩みを気軽に話せる関係づくりを心がけています。
また、本人が希望すれば講演・研修活動や事務業務の担当者として雇用を続けることが可能な体制の整備に向けて検討やコミュニケーションを図っています。」と須藤さん。

このように、大切な「仲間」であるアスリートたちとともに歩み続ける準備を着実に進めています。

共生社会の実現に向け、障がい者アスリート雇用の取組を社会に発信

アスリートによる講演会の様子

最近はパラ・デフスポーツへの興味・関心の高まりを受けて、企業や自治体、教育機関から、同社のパラ・デフアスリートへの講演依頼も相次いでいます。

須藤さんは「本当に多くのご依頼をいただいており、車いすバスケットボール体験会、義足体験会、デフアスリートによる手話講座など、体験を伴う講演会を年に何度も開催しています。講演会等での障がい者アスリートとの交流を通じてパラ・デフスポーツの魅力を知ってもらい、障がい者と健常者、子どもからお年寄りまで皆がいきいきと暮らしていける『人にやさしい社会』の実現に貢献できればと思っています」と話しています。

アスリートによる体験会の様子

また、SMBC日興証券では障がい者アスリート雇用のトップランナーとしての情報発信にも積極的に取り組んでいます。
「障がい者アスリートの雇用を通じて当社にもたくさんの学びがありました。最近では、当社の学びやノウハウを広く役立てていただくべく、他企業や団体の採用担当者を対象に障がい者アスリート雇用についての講演も行っています。
今後も障がい者アスリートとともに、共生社会の実現に向けた発信・取組を積極的に実施していきたいと考えています」。

インタビューした企業

SMBC日興証券株式会社

サイト
https://www.smbcnikko.co.jp/index.html

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