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社内や職場の健康・スポーツ推進活動

【Vol.10】掛け合わせの発想で スポーツ活動が無限に広がる

投稿日時:2023.3.31

株式会社パソナグループ

【お話しいただいた方】
株式会社パソナグループ
常務執行役員HR本部長 金澤真理さん
株式会社パソナ
スポーツメイト事業責任者 菊池康平さん

2015年度から8年連続で「東京都スポーツ推進企業認定制度」に認定を受けている株式会社パソナグループ。
2021年度には、スポーツを通じてあらゆる人々の支援、社会貢献に取り組んだことが評価され「令和3年度東京都スポーツ推進モデル企業」に選定されました。
自社内でのスポーツ推進はもちろん、地域社会やスポーツ業界にまで広がる同社の先進的な取組をご紹介します。

企業紹介
社会課題に向き合う総合人材サービス企業

株式会社パソナグループは、1976年に創業。子育てを終えてもう一度働きたいと願う主婦に再就職先を紹介する人材派遣事業からスタートし、以来BPO・アウトソーシングサービス、HRコンサルティング、教育・研修、地方創生ソリューションなど総合人材サービスへと事業を広げてきました。
現在は業界のリーディングカンパニーとして「株式会社パソナ」を中心に国内・海外約50社で人材ビジネスを展開。また、兵庫県淡路島をはじめ全国各地で「人材誘致」による地方創生事業を展開し、夢ある新産業の創造、地域の活性化と雇用創造に取り組んでいます。
『社会の問題点を解決する』を企業理念に据える同社では、様々な分野の課題解決に取り組んでいます。例えば『地方創生』では、全国で自治体や地元企業、地域の方々と連携しながら地域の活性化と雇用創造に挑戦。また『健康経営』についてもグループ一丸となって取り組み「健康経営銘柄2023」にも選出されるなど、心身ともに健康で心豊かな生活の実現を目指しつつ、自社だけでなく取引先企業に対しても伴走型のサポートで健康推進サービスを提供しています。
インタビューに応えていただいた金澤真理さん(左)と菊池康平さん(右)インタビューに応えていただいた金澤真理さん(左)と菊池康平さん(右)

活動の背景・経緯
4つのテーマとスポーツを掛け合わせる

同社のスポーツ推進活動の大きな特徴は、『キャリア』『社会貢献』『健康』『コミュニケーション』の各テーマを『スポーツ』と掛け合わせ、様々な機会を創出し、実践していることです。
「私たちは人を活かし、誰もがイキイキと働ける社会の実現を目指している企業です。社員が心身ともに健康であることは、企業の評価や成長につながります。企業の責任として、社員や地域の方々の健康のため、スポーツ推進に積極的に取り組んでいます。」と話すのは同社常務執行役員HR本部長の金澤さんです。
「スポーツを介して形成されるコミュニケーションは、社員のエンゲージメントの向上にもつながることから、当社ではスポーツや健康づくりを推進し、また取引先である企業の健康経営のサポートも行っています」(金澤さん)。
株式会社パソナグループ 常務執行役員HR本部長 金澤真理さん株式会社パソナグループ 常務執行役員HR本部長 金澤真理さん

同社がスポーツ推進に力を入れ始めたのは、アスリートのキャリア支援を目的とする『スポーツメイト事業』を発足させた2005年から。スポーツ活動に取り組むだけでなく、スポーツの人材育成、社員の健康や社会貢献につなげるといった考え方のもと、『スポーツ×キャリア』『スポーツ×社会貢献』『スポーツ×健康』『スポーツ×コミュニケーション』をテーマに、幅広く活動を展開しています。

活動紹介その1
アスリートの今と今後を支援

『スポーツ×キャリア』のテーマで取り組んでいるのが、アスリート社員の雇用と人材育成です。目標達成に向けた高い意識、優れたコミュニケーション能力など、アスリート社員はビジネス界でも貴重な人材と言えます。同社のスポーツメイト事業は、アスリートの競技活動と仕事の両立を目指す『ハイブリッドキャリア』(複線的なキャリア)や引退後の『セカンドキャリア』の支援を行っています。
株式会社パソナ スポーツメイト事業責任者 菊池康平さん株式会社パソナ スポーツメイト事業責任者 菊池康平さん

同事業部で研修講師を務め、元プロサッカー選手で5人制サッカーの世界大会にも出場経験がある菊池さんはこのように話します。
「当社では、現役および引退後のアスリートやコーチ等を対象に、将来を見据えたキャリア形成を考える『アスリートキャリア支援プログラム』を提供しています。全国の拠点で就労機会を提供するとともに、社会人としてのビジネスマナーやビジネスの基礎など、現役中に身につけておきたいスキルが学べる研修を提供しています。アスリートは、引退すると何もわからないまま社会に取り込まれてしまい、本人の意志と就職先との間でミスマッチが起きてしまうことがあります。そこで、研修プログラムに参加してもらい、自分の適性にあった業務を見つけ、その後実際に業務についてもらっています」(菊池さん)。
「研修プログラム」では、競技と並行して仕事のスキルが身につき、引退後のケアも行う内容となっていて、選手のライフプランに合わせたキャリアを構築しています。
女子ラグビー選手 兼 オフィスワークのハイブリッドキャリアを実現女子ラグビー選手 兼 オフィスワークのハイブリッドキャリアを実現

『アスリートキャリア支援プログラム』(外部リンク)
https://www.pasonagroup.co.jp/recruit/athlete/

アスリート支援を包括的に支援

アスリートのキャリア支援の幅をさらに広げ、より包括的に対応していこうという試みが一般社団法人日本バレーボールリーグ機構以下 (Vリーグ機構)との連携です。同社では、2022年10月、Vリーグ機構と『パートナーシップ協定』を締結し、チームに所属する選手やコーチのキャリア構築を支援する活動や社会貢献活動等を開始しました。
「Vリーグ機構は男女合わせて全国に53チーム(※)あり、アスリートの中にはビジネスススキルを身につけたい方や就労だけを希望する方もいます。また、社会貢献活動に取り組みたい方など様々です。今後もそういう方々へ、セカンドキャリアを見据えた研修を提供したり、一緒にコラボして地域を盛り上げたり、ビーチクリーンといった社会貢献活動を一緒にできればと思っています」(菊池さん)。

(※)2022-23シーズン加盟チーム DIVISION1 (V1)、DIVISION2 (V2)、DIVISION3 (V3)の合計数

一般社員もスポーツでキャリア支援

同社はアスリートだけでなく、一般社員に対してもユニークなキャリア支援を行っています。新入社員を対象とした『タグラグビー』もそのひとつです。
『タグラグビー』とは身体の接触プレーを排除した安全に楽しめるラグビーです。課題解決能力を高めたり、チームビルディングを行う際に参考にしているそうです。みんなで体を動かし、協力してプレーする中で、普段では見られない新たな面が見られるとのこと。
新入社員の教育やキャリア構築に有効な取り組みとなっています。

活動紹介その2
地域・環境・スポーツをつないで社会貢献

『スポーツ×社会貢献』のテーマでは、例えば、全国各地でジョギングしながら道路のゴミ拾いをする『ブロキング活動』や『ビーチクリーン活動』を実施。社会貢献活動の一環として推進されています。
同社所属のアスリートコーチ・草野 歩さんは、ビーチバレーボール選手としてオリンピックを目指したアスリートです。2021年の春、同社グループ社員とその家族、地域の方々が70名ほど集まり、草野さんと一緒に『ビーチクリーン&ビーチボール体験教室』を実施したそうです。
「草野さんは、アスリート社員として採用させていただきましたが、現役中から大学院博士課程でコーチング学も習得し、現在ではアスリートキャリア支援プログラムへの研修活動にも参加しています。まさにハイブリッドキャリアを実践しています」(金澤さん)。

他にも、同社では身体に障害を持つ方と健常者が一緒にプレーする車いすテニスの大会『エンジェルテニスカップ』も開催。大会は、同社役員・社員からの募金やボランティアで運営され、大会の趣旨に賛同する企業からも多くの支援をいただいて開催しています。この大会は1993年から継続していて、障害者に対する理解を深め、活動機会を作ることに貢献しています。(コロナ禍に伴い2020年から休止中)

ビーチクリーン&ビーチボール体験教室の様子ビーチクリーン&ビーチボール体験教室の様子

活動紹介その3
『スポーツ×健康』で社員に運動習慣を

社員の皆さんがイキイキと働ける環境づくりに取り組む同社では、健康経営に対する方針のもと、独自の運動・エクササイズを導入しています。
「当社では毎日朝礼を実施しています。その際、役員と社員が一緒になって体を動かす『パソナ体操』を実施しています。当社専門のトレーナーや保健師、社員有志が最も効率的に体を動かすにはどうしたらいいか検討を重ねて作り上げた当社オリジナルの体操です」(金澤さん)。
そのほか、新型コロナウイルス感染拡大防止に向けたテレワークの推進に伴い、保健師・管理栄養士・トレーナーで力を合わせて『オンラインエクササイズ』を考案し、運動不足やコミュニケーション不足の課題に対応しています。また、仕事の合間や就業後に利用できる、社員向けの福利厚生施設としてスポーツジムを常設しているそうです。仕事で忙しい中でも気軽に運動ができる環境を提供し、社員一人ひとりが心身ともに健康でイキイキと働くことができるようにサポートしているとのこと。

パソナ体操の様子パソナ体操の様子
トレーニングジムの様子トレーニングジムの様子

その他の活動
企業と地域社会を巻き込む大運動会

『スポーツ×コミュニケーション』は、人が集まるすべてのイベントに関わるテーマと言えますが、中でも大規模なイベントが、兵庫県淡路市(国営明石海峡公園)で行われる『UNDOKAI WORLD CUP』です。2022年は11月3日~6日の4日間で実施され、延べ約75,000人が参加しました。
『UNDOKAI WORLD CUP 2022』の様子『UNDOKAI WORLD CUP 2022』の様子

「新型コロナウイルス感染拡大の影響で昨年度は中止となりましたが、今年度は、3年ぶりに開催することができました。今回は470社の企業から協賛・賛助いただき、企業のご家族や地域住民の皆様にも参加していただきました。大玉転がしや障害物競走など、日本ならではの種目が多く、子どもから大人まで、みんなが楽しめるイベントとなりました」(金澤さん)。
『誰でも参加できる、世界で一つだけの運動会』をコンセプトに実施される大運動会。スポーツを通じて心身を育む機会であることはもちろん、企業間の交流や地域社会への貢献など、複合的な効果が生まれています。
「スポーツは、老若男女を問わないコミュニケーションツールのひとつだと思っておりますので、今後も大会を通して人々が心身ともに健康であり続ける社会の実現を目指していきたいです」(金澤さん)。

スポーツに様々なテーマを掛け合わせ、活動の領域を広げてきたパソナグループ。今後も事業の可能性が益々広がっていくことでしょう。

インタビューの様子インタビューの様子

『UNDOKAI WORLD CUP』(外部リンク)
https://undokaiwc.com/

インタビューした企業

株式会社パソナグループ

サイト
https://www.pasonagroup.co.jp/

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