企業紹介
創業73年の池田鉄工株式会社(東京都杉並区)は、一般及び集合住宅、オフィスビル、工場、倉庫、その他各種鉄骨工事などを取り扱う鉄骨業者です。工場での鉄骨製造と現場での組み立てを一貫して行い、全てオーダーメイドで建物の骨組みを手掛けています。お話をお伺いした池田和隆代表取締役
銅を車いすに変える社会貢献活動のきっかけ
池田鉄工は、パラスポーツで使用する車いす等を寄贈する社会貢献活動に参加されています。今回はこの取組みを中心に、社内で行っている健康経営も含めて池田和隆代表取締役にお話しをお伺いしました。
池田鉄工は、全国鐵鋼工業協会青年部会(以下、全青会)が2017年から取組んでいる「ノズルチップ活動」に参加しています。本来であれば捨ててしまう、溶接作業でどうしても発生する消耗した銅製ノズルチップ。それに着目し、数多く集めれば、さらに価値あるものになると発想し、全国の仲間で集めて換金。そのお金で、車いすを購入して寄贈しています。
2023年に寄贈した車いすバスケットボール用車いすノズルチップ
全青会では、
- 全国の仲間が一つの事業を達成するために団結力を養うため
- 寄贈することによる団体のPR活動の一環として行う
- 自社の社員への教育の一環
の3つを目的として、全青会の全国大会が行われる開催地の施設や教会、NPO法人に、一般の車いすや競技用車いすの寄贈をしています。
池田代表取締役は、「障がい者の手助けになり、車いすが子供たちの教育になれば」という想いで1回目の会議からこの活動に賛同し、率先して参加されています。
これまでの寄贈実績
全青会による車いすの寄贈は、主に全国大会開催地の社会福祉協議会へ行っています。ですが、2020年の京都大会から新型コロナウィルス感染拡大により全国大会開催ができなくなり、寄贈先をどうするか検討した際、「東京2020パラリンピック競技大会」が開催されることと、「活動を辞めたくない」という想いから、2021年から2年間、日本パラ陸上連盟と、日本車いすテニス協会に、競技用車いすを寄贈しました。また2023年には、NPO法人パラキャンが行うパラ競技体験イベントのために、車いすバスケットボール用の車いすも寄贈しました。
NPO法人パラキャンへ寄贈した車いすバスケットボール用車いす
一石三鳥「皆の笑顔、社会貢献、業界PR」
銅を集めて換金する作業は手間がかかるため、初めはネガティブな意見も多かったそうですが、池田代表取締役は15期(2020~2021年度)の会長を務めるなど、精力的に活動されました。そうした中で、寄贈先から、感謝の寄せ書きや体験会で使われている写真が届いているそうです。
「手間はかかりますが、皆が喜んでくれるというのが一番です。皆で集めることに意義があって、社会貢献ができて業界のPRにも繋がるので、一石三鳥ぐらいだと思っています」と話してくださいました。
寄贈先から届いた感謝の寄せ書き
「手間はかかりますが、皆が喜んでくれるというのが一番です。皆で集めることに意義があって、社会貢献ができて業界のPRにも繋がるので、一石三鳥ぐらいだと思っています」と話してくださいました。
支援活動について語る池田代表取締役
池田鉄工が取り組む健康経営
池田代表取締役には、従業員向けのスポーツ促進の取組についてもお話をお伺いました。池田鉄工では、「体が資本」の社員のために、毎朝のラジオ体操を実施、また筋力トレーニングスペースを設置し、日々の健康経営にも力いれています。トレーニングスペースは、約200蔓延かけてトレーニングマシンを整備したそうです。卓球台もあり、昼や業務後に社員の方が汗を流しています。
「鉄骨業は危険な作業が多いため、ラジオ体操でリフレッシュして体を鍛えることは、作業の安全性を高めるとともに社員のモチベーションに繋がります。」(池田代表取締役)
ラジオ体操の様子
トレーニングスペースは今は使わなくなった現寸場※を有効活用
「日本の建築技術は世界一」、業界の未来に対する想い
鉄骨業界は、人材不足により技術の継承も課題となっています。池田代表取締役は銅を車いすに変えるノズルチップ活動などを通じた業界PRや、健康経営・ライフワークバランスへの配慮など社員満足度を高めることで、課題解決の糸口を模索しています。
「日本の建築技術は世界一。その一翼を我々が担っている自負がある。これをきっかけに知ってもらい、若い人に鉄骨業界へ入ってもらって技術を繋いでいきたい」と語ってくださいました。