企業紹介
一般廃棄物および産業廃棄物の収集運搬、そして廃棄物のリサイクルという主に2つの事業を柱とする利根川産業株式会社。「廃棄物の収集運搬並びに中間処分・資源リサイクル事業活動を通じて、廃棄物の適正処理並びにリサイクル社会の形成に貢献するとともに地域環境の調和に努めます」という基本理念を大切にしながら、近年では資源の再利用化への取組を拡大しています。

活動紹介
利根川産業の法人としてのスタートは1986年のこと。しかしそれ以前から、代表を務める利根川満彦さんが個人として事業を展開しており、半世紀以上の歴史を有しています。
元々はダンボールや紙類を中心に取り扱っていましたが、徐々にプラスチックや発泡スチロール、ビニールやペットボトルなどの取扱量も増え、それと比例して従業員の数も増加。現在は120名を超える社員やパートが日々業務に当たっています。
廃棄物を収集するだけでなく再資源化への取組を推進するなど、事業も従業員数も拡大する中で、会社として着目したのが健康経営でした。

お話を伺った利根川勧さん(右)と塩屋勲さん
身体を資本とする業務が多いため、健康やリスクの回避を考慮し健康経営を宣言
健康経営や従業員の健康に着目し推進するようになった経緯について、業務部・運搬課リーダーの利根川勧さんはこのように話します。
「当社にはドライバーや廃棄物収集スタッフ、工場スタッフや事務員など、若手からベテランまでのさまざまな社員が在籍しています。一人ひとりの健康を重視し、これまでも健康診断などは実施していましたが、結果が芳しくない社員に対して改善を促していくといった具体的な取組ができていませんでした」
そして新型コロナウイルス感染症の影響もあり、東京商工会議所の支援事業により派遣された保健師さんをはじめ専門家の知見を取り入れながら、2021年に経済産業省が主催する「健康経営優良法人」にエントリー。健康経営に向けて、会社を挙げての取組をスタートさせました。
「当社では特に身体を使う業務が多いことや、以前に体調を崩し退職せざるを得なかった社員がいたこともあり、元気に健康に毎日の仕事を行うに当たり、ケガやアクシデントなどのリスクを回避することを目的に、2021年に健康経営を宣言し取組を開始しました。
具体的には健康診断の結果を基に、専門医や管理栄養士といった知見の高い方にアドバイスや指導をいただき、一人ひとりが生活習慣や食事などを見直し、悪い点を改善して、健康維持や長期雇用につなげていきたいと考えました。健康を害すると出来なくなる仕事なので」
その効果はすぐに現れ、数値や体調の改善につながる社員も増加したそう。
「身体面での好効果も数多くありましたが、とくに健康に対する意識の高まりをすごく感じました。そのように一人ひとりが健康を考え実際に元気になっていくことで、社内の雰囲気も明るくなっていきました。
また、『健康のためにあれやってる?』『どこまで進んだ?』などの従業員同士のコミュニケーションも増えて、心身の健やかさを実現するのにとても役立ちました」

業務部 運搬課リーダーの利根川勧さん
楽しく競いながら皆で健康を目指す、ごみ拾いをスポーツにした『スポごみ』
会社として健康を宣言したタイミングで、新しい企画も立ち上げました。それが、『ゴミ拾いはスポーツだ!』を合い言葉にした『スポごみ』です。その取組について、業務部運搬課副リーダーの塩屋勲さんにお話を伺いました。
「実は私は、数年前の健康診断で要注意評価が出てしまったのですが…。でも会社が健康経営を推進し始め、専門家のアドバイスや指導、そして他のメンバーと一緒に改善に取り組んだ結果、見事克服することができました。そのように自分自身が健康の重要性を実感する中で、もっと皆で楽しく健康に取り組めないかと模索していたところ、『スポごみ』の企画に至りました」
他社の事例なども調査し、利根川産業らしさを重視しながらアイデアをふくらませていったそう。

業務部 運搬課 副リーダーの塩屋勲さん
「長期的に元気にこの会社で働いていきたいという気持ちがあり、全員で楽しみながら取り組めることをまずは大切にしました。社内に運動できるスペースを設けたりスポーツ・ジムと契約するなどいろいろな考えがありましたが、自分たちらしさという観点から、ゴミ拾いを競技化した『スポごみ』を発足しました。
『スポごみ』とは、地域清掃をしながらカラダを動かすだけでなく、チーム制で行うことでコミュニケーションやゲーム性も持たせた、あくまでも“スポーツ競技”なんです」
この『スポごみ』について、利根川さんはこのように説明します。
「これまでも毎週月曜日の朝に、全員で地域を清掃するプロジェクトを進めてきました。それだけでも意義のある活動でしたが、イベントとして立ち上げたのが『スポごみ』です。
日常の業務終了後に1チーム5名程度の複数チームに分かれ、30分の制限時間の中で厳しいルールの下で清掃を行います。最終的に重さや減点ポイントを集計して順位を付けます」
各チームがゴミ拾いをする30分の間は常に審判員が同行し、ルールの厳守が求められます。
■『スポごみ』のルール(一例)
・時間をオーバーしてはいけない
・私有地に立ち入らない
・ごみ箱からごみを拾ってはいけない
・走ってはいけない(危険防止)
・チームメンバーが離れすぎてはいけない(あくまでもチーム競技)
など、審判員が目を光らせながら競技は進められます。




結果はポイントで集計され、優秀チームは表彰されます。その盛り上がり具合について、塩屋さんに伺いました。
「優勝チームには賞状と商品券などが授与されます。最初はあまり興味を示さなかったメンバーも、勝敗がありますのでやるうちにすごく熱中して本当に盛り上がるんです(笑)。ゴミ拾い前に視察に行ったり、30分でゴミを拾うルートを事前に考えておくなど、チームによって真剣に戦略が立てられていて面白いです。しかも拾ったごみは自社でリサイクルするんです」

『スポごみ』がもたらした多様な好効果
皆で楽しみながら地域の清掃や健康を実現することに加えて、『スポごみ』への取組によってさまざまな好結果が生まれていると利根川さんは評価します。
「日常の業務ではなかなか顔を合わせられないメンバーがチームメイトになったり、新人とベテランが一緒に戦略を立てたり、いろいろなケースがあります。そのためコミュニケーションの活発化や、社内の風通しの良さにすごくつながっている実感があります」
塩屋さんも、多様な効果を実感しているそう。
「地域とのつながりも増えています。近隣を清掃していたり楽しそうにゴミを拾っていたら、どんな会社なの? と地元の方にも興味を持っていただけます。そんな風に、『スポごみ』にはたくさんの効果があると実感しています」
『スポごみ』を地域も巻き込んだ大きなイベントに
このようにさまざまな魅力を有する『スポごみ』ですが、利根川さんはこれからさらに発展させていきたいと考えているそう。
「今は年に一回のイベントですが、まずは回数を増やしていきたいです。それから制限時間を延ばしたり清掃範囲を広げるなど、競技としての楽しさも拡大させて行きたいです。
また最近強く思っているのが、従業員の家族や地域の方も一緒になっての『スポごみ』です。現在は社内だけの活動ですが、もっといろんな人が参加できたら、街もよりキレイになるし、健康についてももっと皆で意識できるようになります。この『スポごみ』を、さらに育てていきたいですね。このような取組はやると決めて実行していくことが大事ですので、どんどん推進していこうと思っています」
これから利根川産業の健康経営や『スポごみ』が、どのように進化・発展していくのか、とても楽しみですね。


