企業紹介
1922年創業の旭化成株式会社(千代田区)は、化学、繊維、住宅、建材、エレクトロニクス、医薬品、医療等の事業を行う大手総合化学メーカーです。現在は「マテリアル」「住宅」「ヘルスケア」を主要セグメントと位置づけた事業を展開しています。
活動紹介
旭化成は1946年に従業員への福利厚生のために5つの運動部をスタートしました。近年では社員と家族の心身の健康保持・増進を基盤として、「一人ひとりの活躍・成長」「働きがい・生きがい向上」「活気あふれる強い組織風土づくり」を追求。そして、「持続可能な社会への貢献」と「持続的な企業価値向上」の実現を目的とした活動を展開しています。
また早くから「健康経営」にも注力し、国内の各拠点における健康管理の実施に加え、2020年には健康経営推進室を始動し「ウォーキングイベント」などの施策で社員の健康意識の向上や健康行動を促進。2022年より東京都スポーツ推進企業とスポーツ庁の「スポーツエールカンパニー」に認定されるなど、その活動は進化を重ねています。
今回は旭化成の健康経営やアスリートの支援に関する取組などについて、お話を伺いました。

お話を伺った(左から)岸上崇さん、佐野雪子さん、内村彩子さん、塘内将彦さん
設立から約80年! チャレンジし続ける旭化成の陸上部、柔道部

社内にはユニフォームや柔道部、陸上部の軌跡について展示されている
旭化成では現在、陸上部と柔道部が活動し、これまでにオリンピック大会をはじめ国内外の競技会で数多くのメダリストを輩出しています。広報部スポーツ広報室長の岸上さんにその歴史について伺いました。
「戦後すぐの1946年に、従業員の福利厚生を目的に、陸上・水泳・卓球・野球・バレーボールの5つの運動部を立ち上げました。1948年には柔道部も発足させ、現在は陸上部と柔道部が活動しています。オリンピック2024年パリ大会でも柔道の永瀬貴規選手が金メダル2連覇を果たすなどの好成績を残しています」。
旭化成の陸上部や柔道部に在籍する選手の活躍を、社員も一体となって熱く応援していると岸上さんは話します。

広報部 スポーツ広報室長の岸上崇さん
「選手はそれぞれ業務にも携わっていますので日常的な触れ合いだけでなく、試合の際には社員も会場で応援するなど、全員で一つになって勝利に向かっている感じです。2020年に旭化成のスポーツに関する取組を専門的に発信するスポーツ広報室を発足させ、現在は様々なメディアを通じて情報を伝えスポーツの魅力を届けています」。

柔道部の4連覇達成の喜びを分かち合う選手と社員
スポーツ活動を支え一丸となって勝利に向かうために、取組そのものや幅広い魅力を伝え共有していくことも、旭化成ではとても重要視しているのです。
一人ひとりの意識と体調を改善する「健康経営推進室」
健康経営エキスパートアドバイザーである内村さんがグループ長を務めるのは、2020年に誕生した健康経営推進室企画推進グループ。その取組について伺いました。

健康経営推進室 企画推進グループグループ長 健康経営エキスパートアドバイザーの内村彩子さん
「これまでも製造所や事業場などの各拠点において、社員と家族の健康推進や安全管理に注力していましたが、活気あふれる組織づくりをより発展的に構築していくために健康経営推進室が生まれました。現在では主に①メンタルヘルス対策②生活習慣病重症者対策③メタボリックシンドローム対策④がん対策⑤喫煙対策⑥睡眠について重点的に取り組んでいます」。
企画推進グループというその名の通り、多様なアイデアを実現していますが、最近特に大きな催しになっているのがウォーキングイベントだそう。

ウォーキングイベントへの参加を募る告知
「東京・大阪地区では7名ほどでチームを組んで、2週間で積み重ねた歩数の合計を競うイベントを毎年実施しています。イベント活用の例としては、健康増進のためだけではなく、事前に設定した目標歩数の達成率が高い人を表彰する等の盛り上げ方で、職場活性化を図る部署もあります。運動量を増やすだけでなく、円滑なコミュニケーションにも繋がっています」。
このウォーキングイベントをはじめとした日々の取組が奏功し、社員の健康診断の結果にも好影響が見え始めていると内村さんは話します。
「ここ数年の健康診断の問診結果から、社員一人ひとりの週あたりの運動量の増加や、健康への意識の改善効果が得られています。長い目で見た健康向上に着実に進められていると確信しています」。
現場の人たちと一緒になって推進する健康経営
旭化成で仕事をする社員数は約5万名(連結/2025年5月現在)。老若男女がさまざまな業務を推進していますが、その一人ひとりに寄り添うべく、各拠点には保健師や看護師が在籍しています。建材東京健康管理室で保健師・公認心理師を務める佐野さんにお話を伺いました。
「オフィス地区でデスクワークをする社員もいれば、研究開発で実験をしている社員や工場の製造ラインにいる社員もいます。そんな、様々な社員の心身の管理に向き合っています。オフィス地区での健康経営はメタボチームやメンタルチームなど各分野ごとに“予防”をキーワードに活動しています」。

企画管理部 総務・人事室 建材東京健康管理室 保健師 公認心理師の佐野雪子さん
予防をキーワードに企画したのが、旭化成柔道部とコラボした社員に向けたストレッチ動画だったそう。
「コロナ禍で在宅勤務が増えて、運動頻度が著しく低下した時期があったんです。それ以前は『1日1時間以上の歩行または運動をしている』が40%程度を保っていたのですが、コロナ禍による在宅勤務増加の影響もあってか34.3%にまで低下しました。運動習慣の低下はメタボにつながります。運動のきっかけづくりのため、デスクワーク下でも気軽にできる旭化成オリジナルのストレッチ動画を柔道部とコラボし作成しました」。

柔道部とのコラボで完成した気軽にできるストレッチ動画
普段運動習慣のない社員でも、デスクまわりで簡単にできる動きなどを重点的に取り入れ、動画のナレーションは保健師が、撮影や編集は柔道部が実施しました。
「柔道部の皆さんには実演から撮影、編集まで、本当にお世話になりました。ストレッチの内容だけでなく、視覚・聴覚に障害のある社員に向けてナレーションや字幕で動作を丁寧に表現するなど、こだわりの動画になりました」。
柔道部とのコラボ動画は、イントラネットでいつでも閲覧できるだけでなく、安全衛生委員会の際に全員でストレッチを行う際になど役立てられているそう。「今後は陸上部とのコラボも検討し皆さんの健康づくりに役立ててもらえたら」と、佐野さんは笑顔で語ります。
アスリートであると同時に、社員としても活躍していく
陸上部や柔道部に所属するアスリートは、誰もが一人の社員として業務にも携わっています。柔道部に所属し、全日本選抜柔道体重別選手権大会で81kg級での優勝をはじめオリンピック2004アテネ大会など大舞台で活躍してきた塘内さんは現在、スポーツ広報室という新たな舞台で活躍しています。

元柔道部所属で、現在は広報室 スポーツ広報室 課長を務める塘内将彦さん
「現在、陸上部と柔道部を合わせて40名ほどが旭化成に在籍しています。その一人ひとりが社員と一緒に旭化成で業務を行っています」。
2025年9月13日(土)から21日(日)までの9日間、東京・国立競技場において世界各国からトップアスリートが参加する『東京2025世界陸上』が開催されます。
35km競歩の元世界記録保持者であり、現在50km競歩の日本記録保持者の川野将虎選手が出場を決めていますが、その川野選手も、実は、旭化成のIT関連部署に在籍し、その業務に従事しています。
川野選手は現在、大会に向けトレーニングに励んでいますが、川野選手の職場での飾らない真面目な人柄に惹かれ、社員の皆さんが自然発生的に、世界陸上本番での応援イベントを企画しているそう。

東京2025世界陸上に出場する川野将虎選手(競歩)
「第一線で活躍する選手と社員が一緒に業務をすることで、コミュニケーションも増え好循環が生まれています。私自身の時もそうでしたが、今度試合があると話すと社員も本気で応援してくれて、自分たちが頑張る姿を見て、モチベーションが上がると言ってくれます。お互いにとってすごくありがたいことだと思います」。
世界で戦う仲間の活躍が、社員の誇りに
このように、選手たちの活躍を支援すると同時に、さまざまなアイデアや取組で社員一人ひとりの健やかな心身維持をサポートしつづけている旭化成。アスリート支援と健康経営が良いシナジーを生み出し、トップアスリートと社員が一丸となって前に進んでいくという企業カルチャーは、旭化成らしさを象徴する取組になっています。
9月に開催される東京2025世界陸上に向け、旭化成の皆さまと一つになって勝負に挑むアスリートの活躍が、とても楽しみですね。