【Vol.3】車いすバスケットボール連盟や大会組織委と連携し全国規模のイベントやWeb動画で魅力を発信

2022年3月1日

日本生命保険相互会社(以下、日本生命)は2015年に「東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会(以下、東京2020大会)」のゴールドパートナーとなり、2017年度にはオリンピック・パラリンピック推進部を発足。「Play, Support. さあ、支えることを始めよう。」というスローガンを掲げ、東京2020大会以後も同社が協賛している日本車いすバスケットボール連盟と連携しながら、パラスポーツの普及に向けて様々な取り組みを実施しています。

自社でグッズを作成するなど、まずは社内の機運を醸成

そのうえで、パラリンピックの成功や共生社会の実現に向けては、全国各地でのパラスポーツの普及や応援機運の醸成が必要と考え、「Play, Support. さあ、支えることを始めよう。」というスローガンのもと、今日に至るまでパラスポーツの振興活動を行っています。

オリンピック・パラリンピック推進部 東京2020推進担当の荻野祥太課長(右)と相澤早紀主任(左)

もともと社内に卓球部や野球部を持ち、スポーツ振興に盛んな企業風土があった日本生命でしたが、パラスポーツに取り組む転機となったのは2017年。4月に、女子車いすバスケットボールの北間優衣選手が入社。さらに、日本車いすバスケットボール連盟とオフィシャルパートナー契約を締結しました。連盟や大会への協賛に加え、車いすバスケットボールのファン作りに向けても、社内外で様々な活動を展開しています。具体的な取り組みを、同社オリンピック・パラリンピック推進部 東京2020推進担当の相澤早紀主任が教えてくれました。

パラスポーツ観戦の様子

「まずは従業員からファンを増やすために、車いすバスケットボール大会が開催される際には従業員への観戦・応援を呼びかけ、機運を醸成していきました。現在まで、約2万5000人が参加しています。さらには車いすバスケットボールやボッチャの体験会、パラアスリートによる講演会、スポーツボランティアなどへの参加も募り、たとえばスポーツボランティアにはこれまで、約9900人の従業員が参加しました」(相澤さん)

パラスポーツ応援の様子

観戦時には、オリジナルのTシャツを従業員で着用するとともに、スティックバルーンを持って応援。さらには選手のことを知るための名鑑や応援シートを配布するなど、一体感を持って楽しめるよう工夫をしたのだとか。

全国規模のイベントやWeb動画などオン/オフラインで魅力を発信

社内の次は、社外へ。パラスポーツの大会が開催される地域の営業職員が、現地周辺の顧客へ積極的に大会告知活動を行いました。そうして車いすバスケットボール女子の日本一決定戦である「皇后杯」や「国際親善女子車いすバスケットボール大阪大会」等の開催地域では、約35万人に観戦応援を案内したそうです。

そして同社が東京2020大会を盛り上げるために、同大会の組織委員会と共同開催したのが「日本生命 みんなの2020全国キャラバン」。大型ビジョン搭載のキャラバントラックで全国を巡りながら、競技の体験などができる参加型プログラムです。その活況ぶりを、同社東京2020推進担当の荻野祥太課長が振り返ります。

「コロナ禍により、最終回に予定されていた2020年3月の広島県だけは中止となってしまいましたが、2018年7月から2020年2月まで、46都道府県で開催させていただきました。会場内では車いすバスケットボールを体験できるブースも用意し、2万人以上の方に参加いただけました」(荻野さん)

「日本生命 みんなの2020先刻キャラバン」での車いすバスケットボール体験ブースの開催

さらに「日本生命 みんなの2020全国キャラバン」で行われた画期的な取り組みの一つが、東京2020大会を目指す選手を応援する気持ちを、バスケットボールに換えて選手へ届ける「ボールに乗せて応援を届けよう」キャンペーン。

みんなの2020全国キャラバンについて熱心に語る相澤主任

「この企画は、キャラバンで車いすバスケットボールを体験いただいた方の人数に応じて、全国の車いすバスケットボール選手にお贈りするというキャンペーンです。おかげさまで、日本車いすバスケットボール連盟所属の768名の選手全員に贈呈することができました。各チームや選手からも、SNSなどでそのことを発信いただいたり、感謝の声をいただいたり。共に盛り上げることができてよかったです」(相澤さん)

東京2020大会に向けた機運醸成のための企画は、リアルイベント以外にも。代表的なものが、日本車いすバスケットボール連盟と連携して発信した2種のWeb動画です。

そして同社が東京2020大会を盛り上げるために、同大会の組織委員会と共同開催したのが「日本生命 みんなの2020全国キャラバン」。大型ビジョン搭載のキャラバントラックで全国を巡りながら、競技の体験などができる参加型プログラムです。その活況ぶりを、同社東京2020推進担当の荻野祥太課長が振り返ります。

一つは「車いすバスケで日本を熱くする」篇。世界へ挑む日本代表としての覚悟や仲間との絆を、ひたむきなプレーを通して表現した動画です。そしてもう一つは「The Beats of Game」篇。こちらは2003年生まれの若手アーティストSASUKE氏が、ドリブルや車いすのターンなどの競技音や選手の声、審判の笛などを取り込んで構成し、車いすバスケットボールの魅力を表現した作品です。

前者は2020年1月から年の約2年間で、約262万回の再生数を記録。後者は2019年2月から2021年12月までで約48万回再生されるなど、ともに大反響となりました(現在、これらの動画企画は終了)。

社内のダイバーシティ理解推進における好機となっている

やがて迎えた、2021年開催の東京2020大会。新型コロナ感染拡大の影響で無観客となったものの、日本選手団の活躍によって史上2番目となる計51個のメダルを獲得しました。

「オリンピック、パラリンピックともに自国開催というだけでなく、選手団の活躍によって話題性や注目度の高い大会になったと思います。特にパラリンピックは、困難なことがあっても諦めず、限界に挑戦し続けるアスリートの姿に、多くの方が勇気や感動をいただいたのではないでしょうか」(相澤さん)

「東京オリンピック前後でパラスポーツの認知や意識の高まりを感じる」と話す萩野課長

「大会前と後で、パラスポーツに対する社会の認知や意識が、少なからず深まっていると感じます」と荻野さん。
2017年に立ち上げた、オリンピック・パラリンピック推進部の発足から2022年で6年目。活動を振り返って感じる、やりがいなどを教えてもらいました。

北間優衣選手(同職員)による体験会

「パラスポーツの観戦や応援に加え、講演会や体験会はダイバーシティ理解の推進を含めた、人材育成の観点でも良い機会となっています。参加した職員からも、『障がいはあっても、アスリートとして活躍する選手の姿を見て、障がいが“特殊なもの”であるというイメージがなくなりました』『障がいを持つ方が日常生活を送るうえでのサポートの必要性も含め、ー緒に生活しやすい環境を作ることが大事だと感じました』といった声を聞きます。

北間優衣選手(同職員)による体験会

ダイバーシティやSDGsといった課題を社会全体で解決していく流れがある中、当社も本活動を通じて尽力していますが、そういった活動が、お客様からの信頼にも繋がっていくと考えております」(相澤さん)
一方、パラスポーツ振興に向けての活動はまだ道半ば。車いすバスケットボールだけでなく、パラスポーツを観て体験する機会を増やしていくことが課題であると言います。

「知っていただくという点では、障がいの有無に関わらず、また競技の枠も超えて、あらゆる方々にパラスポーツと触れ合う機会を作ることが重要だと考えています。当社も継続してパラスポーツの支援に注力する中で観て体験する機会を提供し、いっそう広げていきます」(荻野さん)

いまだコロナ禍が続く中、世の中の状況に応じて講演会や体験会を開催したり、それらをオンラインで行ったりと、パラスポーツの支援活動に力を注ぐ日本生命。これからも「Play, Support. さあ、支えることを始めよう。」を合言葉に、共生社会の実現に向けたチャレンジは続きます。


【Vol.2】約5年前の黎明期からボッチャをサポート 支援企業として業界をけん引する存在に

2022年2月1日

金融、医薬分野などのシステム開発・運用サービスと業務受託サービスを国内外で展開するCACグループ。同グループは日本ボッチャ協会のゴールドパートナーとして活動支援を行う中、国内開催の各種大会で審判なども担当。また、ボールの距離を測るアプリを開発したり、社屋にボッチャ専用のコートを設けたりと、独自の普及活動も行っています。

知名度が低いからこそ支援したい

日本におけるボッチャ支援企業のパイオニアがCACグループ。同グループが取り組みを始めたのは2016年、創業50周年を迎えたことがきっかけです。当時代表取締役社長だった、酒匂明彦現会長を中心に、社会貢献につながる活動を展開していきたいという想いからスタートしました。

コーポレート・コミュニケーショングループ長 兼 CACグループ ボッチャ支援事務局長の酒井伊織さん

現在も同グループにおけるボッチャ関連の取り組みを統括している、株式会社CAC Holdings 経営企画部 コーポレート・コミュニケーショングループ長 兼 CACグループ ボッチャ支援事務局長の酒井伊織さんが当時を振り返ります。

「以前からスポンサーとしてパラスポーツの支援は行っていましたが、具体的な活動は何もしていませんでした。そんな中、創業50周年を迎えるにあたり、何か大きなことをやりたいと。そこで、改めて障がい者スポーツ支援という案が挙がったのが2015年の夏ごろです」(酒井さん)

では、どのスポーツを支援するか。複数の競技から検討する中、ボッチャに決めた理由は、知名度の低さが大きかったと酒井さんは言います。

「当初は社内でも、ボッチャという名称から競技内容を想起できる人がほとんどいませんでした。知名度が低いからこそ支援しがいがありますし、多くの企業支援を受けているスポーツではなかったことも決め手です」(酒井さん)

ボッチャメジャー(Androidアプリ)の画面

酒井さんはじめ社内関係者がボッチャの大会や練習の見学に訪れ、協会員や選手、その保護者とコミュニケーションを取る過程で、重度の障がい者でも競技できるボッチャの素晴らしさに感動。また、社長自身が大学時代にスポーツ関連のボランティア経験があったことも決め手でした。

支援を開始してからは、競技大会に運営ボランティアとして参加するなど、現場での活動に従事。その経験から「必要なもの」「面白いこと」を形にしていきました。

当社1階のボッチャコート

中でも特徴的なのが、自社の事業を活かして開発した、ボッチャボール間の距離を自動測定するAndroidアプリ「ボッチャメジャー」、 そして本社社屋の1階に設けた「CACボッチャコート」。このコートはアスリートの練習に使うだけでなく一般開放もしていて、予約すれば誰でも利用できます。

第1回OpenChampionshipに参加したCACグループのボランティア

ほかにも近年では、日本ボッチャ協会のゴールドパートナーとして、ボッチャ大会の主催、トップアスリートの雇用、普及活動など幅広い取り組みを実施。東京2020パラリンピック競技大会では、酒井さんを含め3名の社員が審判としてボッチャに参加。ボランティアスタッフとしても、同社の6名が東京大会で活躍しました。

パラリンピックきっかけで競技人口が急増

コロナ禍により、以前のような支援活動はできていないと言う酒井さん。ただ2021年にパラリンピックが開催できたこともあり、状況は少しずつ好転しているとか。特に10月以降は「CACボッチャコート」の貸し出しが増えたり、各種学校向けへのボッチャ体験会や講演会への招へいが増加したり。
また、コートの貸し出しに関してもパラリンピックの影響もあってか、競技人口が増えていると実感しているそうです。

競技人口の増加を実感すると言う酒井さん

「選手以外ですと、以前は同じ企業で働く方々が多く利用している印象でした。それが最近は、会社の垣根を超えた同好会など、より幅広く様々な方々が利用していると感じます。昨年の東京大会でボランティアしたことをきっかけにチームを組んだという話も聞きましたし、すそ野は確実に広がっていますね」(酒井さん)

各種大会に関しては、ボッチャの日本選手権もコロナ禍により中止となっていましたが、パラリンピック以降は再開。2021年末には、軽度の障がい者クラスによる「オープンチャンピオンシップ」の第1回が開催され、酒井さんをはじめ同社でも7人が審判やボランティアとして参加したそうです。

第3回CACカップの集合写真

そして酒井さんが「今年はやりたいです」と注力している大会が、「CACカップ」。こちらは都内の特別支援学校の生徒を対象とする、ボッチャの学生交流戦。東京で過去3回開催してわかってきたこともある中で、地方でも開催させたいと意気込みます。

「子どもへのワクチン接種が不十分であるなど課題はありますが、2022年は『CACカップ』を実現したいですね。現在予定しているのは、3月のオンラインイベントです。パラリンピックで活躍した選手をゲストに呼んで、トークセッションなどを考えています」(酒井さん)

もし「CACカップ」を地方で行う場合は、競技人口などの関係で対象者の幅を広げることも想定しているとか。例えば特別支援学校以外の教育機関を含めたり、学生に限定しなかったり。健常者も交えたインクルーシブな大会にしてもいいのでは、と模索しているそうです。

体験することが企業支援の近道

体験授業で学校訪問した際の様子(当社所属の佐藤選手と当社社員)

これからパラスポーツの振興を行うなら、まずは体験してみることがおすすめだと酒井さん。特にボッチャは基礎体力を鍛える必要がなく、道具さえあればどこでも、誰でも楽しめるスポーツです。

「障がい者と健常者とが、最も垣根なく楽しめ、競い合えるスポーツがボッチャだと思います。当社がボッチャを支援したいと思った理由にも、ボッチャならではの多様性がありますし。リオデジャネイロに東京と、パラリンピックのおかげもあって、ボッチャの知名度は高まっています。インクルーシブな大会も積極的に開催されるようになりました。体験するチャンスも増えているので、まずはその魅力に触れることが企業支援への近道だと思います」(酒井さん)

コロナ禍で始まった、オンライン体験授業の様子

一方で、今後の課題も少なくないと酒井さん。例えば海外と比べた場合の競技人口はまだまだ少ないとか。だからこそ改善していくために、企業や自治体が旗振り役となって支援していくことがボッチャの未来を明るくするのです。

若い方に興味を持っていただきたいと語る酒井さん

「これは企業支援とは別の話ですが、若い方に興味を持っていただきたいと思います。大会などへ参加すると学生ボランティアの方もよく見かけるのですが、その多くは福祉関係や医学療法士の卵など、もともとボランティア精神が豊かな方々。ボッチャに限らずですが、福祉に関する教育文化がいっそう醸成されるようになると嬉しいですね」(酒井さん)

社内で支援する場合でも、協力してくれる人をうまく巻き込むのが課題のひとつ。働きながらボランティアへの時間を割くのは簡単なことではありませんが、それでもやる価値があると酒井さん。意欲のある人が中心になって、社内にアピールしていくことが大切だと言います。

支援を始めた当初の手探りの状況から根気強く続け、「ボッチャといえばCAC」と言われるまで有名になったCACグループ。いまや世界的な大会でも審判やボランティアスタッフを担うなど、業界をけん引する存在です。その姿勢や実績は、多くの企業にとってのロールモデルとなるでしょう。


【Vol.1】パラスポーツ支援企業の先駆けであり 五輪・パラ最多の選手を輩出したリーディングカンパニー

2022年1月1日

損害保険会社の大手、あいおいニッセイ同和損害保険株式会社。同社は、パラアスリートを多競技から15人以上採用し、パラリンピック出場選手も多いなど、障がい者の雇用やスポーツ支援に積極的な企業のひとつです。スポーツを通じた地域貢献やスポーツ支援特設サイト「AD Challenge Support」での情宣などその活動は多岐にわたり、東京都が認定する「東京都スポーツ推進企業」では殿堂入りとなっています。

毎年アスリート雇用を継続。五輪・パラには企業で最多となる7名の選手が活躍

損害保険の大手として有名なあいおいニッセイ同和損害保険は、国内企業のなかでも特にパラアスリートの雇用や支援に積極的。2006年から続けているJWBF(一般社団法人 日本車いすバスケットボール連盟)への協賛を皮切りに、2014年にはJPSA(公益財団法人 日本パラスポーツ協会)のオフィシャルパートナーを務めるほか、障がい者スポーツ支援特設サイト「AD Challenge Support」の立ち上げ、全国各地で支援の輪を広げる取り組みなど、その活動は年々活発になっています。

経営企画部次長でスポーツチームを統括する倉田秀道さん

2006年当時のことを、同社の経営企画部次長でスポーツチームを統括する倉田秀道さんは「パラスポーツへ協賛している企業は、ほぼなかったと思います」と振り返ります。

「当社は損害保険、とりわけ自動車保険を主力商品として取り扱っています。交通事故に遭われた方への保険金支払いも大事な業務です。被害者救済を考える時、保険金支払いのほか、その後の自立支援等できないかと考えた経緯があるようです。車いすバスケットボールの選手の多くは、交通事故により車いす生活を余儀なくされたことを伺い、当社の事業との親和性もありました。また、提携先企業から車いすバスケットボールの支援のお話もいただいたようです。そのような背景により、2006年よりJWBFの協賛に至りました。」(倉田さん)

日本パラリンピアンズ協会への社員寄付

スポーツ支援への本格参入は、東京2020 オリンピック・パラリンピックの開催が決定した2013年が大きな契機となりました。翌年4月、同社は社内プロジェクトチームを組成し、同時に金融機関として初となる日本パラリンピック委員会(当時)とのオフィシャルパートナー契約を締結したのです。

「最初は大会応援が主でしたが、2015年からはアスリートの雇用も始めました。自社の仲間が選手であれば、社員の応援にもいっそう熱が入りますからね。選手を中心に据えて全社を巻き込むことにより、社内でのスポーツ振興の取組みが進展しますし、パラスポーツを通してダイバーシティやアンコンシャスバイアス(無意識の偏見)への理解を深めていきたいという狙いもあります。」(倉田さん)

コロナ渦縫う情勢限でも社員が応援観戦

同社ではアスリート雇用も進展し、現在は23人の所属選手のうち社員雇用が20人。さらにそのうち16人がパラアスリート、しかも東京2020パラリンピック競技大会には7人の選手が出場しました。報道等によると、ひとつの企業で7人出場というのは最も多かったようです。

「2021年の夏は、対外的な発信以上に社内に向けての情報共有に注力しました。無観客となりましたので、TVなどの画面越しに応援しましょうと。全国の拠点はもちろん、海外の現地法人などにも英語で情宣し、国内外で同じように応援することができました。また、オンラインで壮行会や報告会なども行いました。その意味では、パラリンピックは社内の機運醸成としてよいきっかけとなりましたね。」(倉田さん)

東京パラTV応援:職場にて

上智大学連携講座

全国に拠点があるのも同社の強み。東京はもちろん、各地の拠点が地域の自治体と連携し、学校での体験授業や地域住民向けの講演会・体験会に選手を派遣するなどして、自治体主催事業(イベント)を共同で行っています。

パラスポーツ等に貢献し、東京都等様々な団体から表彰されている

その狙いは、同社の行動指針にある地域密着の具現化。自治体による地域課題に対峙、それに呼応し、地域での貢献活動につなげることです。自治体のニーズは多岐に渡るもののやはり、パラスポーツを通じたダイバーシティやアンコンシャスバイアスの理解浸透へのニーズが高く、それも狙いのひとつとなっています。協定を締結する自治体の数は全国で360都道府県・区市ほど(2021年12月現在)となっており、自治体主催事業として年間80~100回ほどイベントを行っているそうです。

東京パラリンピック出場選手

「当社はパラアスリートのほうが多いですが、選手はオリパラ分け隔てなく所属しています。そのひとりに有名なマラソンランナーの川内優輝選手がいます。たとえば川内選手が大会に出場する際にその地域で講演会や交流会等を行う『マラソンキャラバン』なども行っています。」(倉田さん) 。

パラの選手の意識改革と指導者育成・普及の変革が大切

パラスポーツ写真展

パラスポーツの支援を、企業として積極的に取り組む活動がたたえられ、「東京都スポーツ推進企業」で殿堂入りとなった同社。足がかりとなったのは2006年、その後、2014年から本格的にスポーツ支援活動を続けていますが、新たな取り組みと同様に継続も大切であり、それらをブラッシュアップして品質を高めていきたいと倉田さんは言います。

「今年度、新たに実施したことがあります。所属するオリンピック競技の選手がパラアスリートを指導して競技力向上を図るという取り組みです。パラリンピックの水泳競技に内定した選手を対象に行いました。これは、いわゆる強い選手と練習する環境をつくること、パラスポーツには指導者が不足していること、に起因しているものです。これにより、所属選手が比較的多い当社ならではの「オリパラ交流」の取り組みができたと思います。パラアスリートも刺激を受け、『もっと練習したい』『きっかけをつかめた』と意欲を見せていましたし、こうしたオリパラ交流はより活性化させて相乗効果を出していきたいと考えています。」(倉田さん)

オリンピック選手によるパラリンピック選手への指導①

オリンピック選手によるパラリンピック選手への指導②

倉田さんは早稲田大学スキー部の監督や、全日本ナショナルチーム、日本オリンピック委員会強化スタッフなどを歴任してきたスポーツ指導のプロフェッショナル。その視点からすれば、パラスポーツにおける選手強化や指導者不足は、従来路線を踏襲する傾向のある枠組みでの大きな課題のひとつだと言います。

そのためには、「選手強化の環境づくりと選手の意識改革」、「指導者育成と普及のすそ野拡大」を目指していくことが大切であり、とはいえひとつの企業が奮闘しているだけではなかなか好転しないとも言及。根本としては、選手の意識改革と指導者育成・普及に関する変革をしていくことが重要だと言います。

「2021年はパラリンピックで日本が非常に盛り上がりました。パラスポーツの認知が広まった今、この灯を絶やさずにさらに盛り上がる活動をしていかねばなりません。
私たち企業だけではなく、行政と手を取って官民一体でアクションを起こすことが必要だと思います。自治体による地域での取り組みを深め、企業としては巻き込んでいただけければより動きやすいです。それには前提としてまず関連団体の発想の展開や改革が欠かせないように思います。

車いすバスケットボール 秋田啓選手

従来のやりかたにとらわれず、新しい人材を入れるなど、意識改革から組織を変革し、そこから指導者や選手が持つ力の底上げをし、日本全体のパラスポーツがよりよい状況になっていけばと思います。それにより、官民一体でのアクションが生きるのではないかと思います。私自身も会社としても頑張っていきます。」(倉田さん)

よりよい共生社会のために企業と行政ができること

同社がスポーツ支援を本格的に開始した2014年に比べれば素地は整っており、より多くの企業がパラスポーツ支援を始めやすくなっています。倉田さんは、背伸びをせずにできることから行い、やりたいけどできないことがあればJPSAや企業間同士で連携すればよいと言います。

「自社で完遂しようと思うと、労力もコストもかかりますから、できることからコツコツという考え方でいいと思います。ただし、企業活動の一環ですので意味を持たせないといけません。たとえば、単にパラスポーツの応援という目的だけではなく、「何のためにパラスポーツを応援するのか」など。そこから障がい者雇用につなげたり、パラスポーツを通じてダイバーシティやアンコンシャスバイアスの理解を深めたりと、社会的な意義、未来の価値へつなげる意図を持って計画していただけたら。」(倉田さん)

パラスポーツ体験会の様子

東京2020パラリンピック競技大会の盛り上がりが記憶に新しい今、世間の熱はある程度落ち着いたとしても、これからの活動次第で火種をより大きくすることが可能となります。

一般的に広まった認知を興味の段階にまで深め、新型コロナの感染状況にもよりますが、大会へもっと足を運んでもらうよう、協会などの関連団体が中心となって情報発信し、歩みを止めないことが大切だと倉田さんは考えています。

 

パラスポーツ体験会の様子

他方、海外に比べると日本のパラスポーツ文化は遅れをとっています。さらにいえば、パラスポーツだけではなく、ダイバーシティへの意識も世界と日本では大きな差があることは否めません。たとえば、障がい者のスポーツ従事が当たり前の環境になっているのが海外で、そこにソフト・ハードともに大きなハードルを抱えているのが日本。

学校教育ひとつをとってみても、日本には遅れがあります。たとえば、ひと昔前の日本では一般的な学校と特別支援学校とがはっきり分けられていました。一方、海外には特別支援学校というものがあまりありません。そのため、幼児期から障がいを持った子ども同士が仲良くなったり、健常者と障がい者の子ども同士が一緒に遊んだり、スポーツをしたりという機会が日本より育まれる環境になっているのです。

所属選手によるオンライン講演会

SDGs(持続可能な開発目標)が日常的に叫ばれるようになった昨今、たとえば環境面の違いをより広く伝え、日本の当たり前は意外とグローバルスタンダードではないということを知ってもらいたい。その思いもあって、同社は文化交流や体験教育を通じて全国各地で活動を行っているのです。

「当社が雇用するアスリートは、競技だけではなく業務も担っています。所属アスリートの業務は職場のみならず、社会での活躍の場があると考えています。そのため、多くの所属アスリートは自治体主催事業の講演会や小学校の体験授業など、川内優輝選手は全国行脚の『マラソンキャラバン』の活動を展開しています。
所属アスリートのために社会での活躍の場づくりをすすめ、アスリートにはあらゆるところに活躍の場があることをわかってもらうことが必要だと思います。」

パラスポーツやアスリートを支援する企業のリーディングカンパニーである、あいおいニッセイ同和損害保険。共生社会におけるモデル企業であるとともに、誰も取り残されない社会をつくり発展させていくために。その挑戦はますます果敢に、これからも続いていきます。